こんにちは。ハナマウイ代表&エンジニアの宮です。
いつもハナマウイご利用いただいてありがとうございます!
今回はハナマウイのレコーディングを彩る機材たちについて記事を書きました。
それほど高価なものばかりと言うわけではないのですが、
個性的な彼らが今のハナマウイのレコーディングを支えてくれているので、
少しでも興味を持ってくれたら幸いです!
まずはエンジニアを始めたきっかけを軽く。。
僕がエンジニアを始めたのは去年{2010年}の10月でした。
最初はハナマウイにすでにある機材をいかに最大限使えるようになるか、
ということで頭がいっぱいでした。
もともと特にエンジニア志望ではなかった僕ですが、
僕がベースを弾いていたYOGURT-poohのレコーディングの時に、
エンジニアの小田真さん{missile girl scootなどなど}や、
プロデューサーの森俊之さんや
{スガシカオが特に有名で椎名林檎とか中西圭三とか。キーボーディストとしても有名}
河野圭さんが{宇多田ヒカルの多くのヒット曲のプロデューサー&キーボーディスト}
PCに向かって作業しているのを見ていて、
‘音は良くなったけど一体何をされているのだろう。。’
という気持ちからcubaseを買ってなんとなくいじってはPCを壊したり、みたいな感じでした。
ちなみにこのとき神の業を目の前で見せられた体験が、
僕のレコーディングエンジニアとしての源泉といってもいいと思います。
あとドラムテック{ドラムの音をチューニングしたりセットをチョイスしたりする人}をしてくれていたkosekingこと小関スミタダ氏{現在Drum magazineで’ちょー楽器王’という連載持ってたりします。}や、
ギター&ベーステックをしてくれた山添さん{YMOでギターテックしてたりした人}
からも様々な知識を教えて頂きました。
僕がミックスルームやPROTOOLSを触りだした当初から揃っていたマイクは、
AKG c414 XLS
RODE NTK
audiotechnica ATM25
AKG D112
RODE NT5
てな感じです。
あとはshure57、58、BETA57Aとかくらいです。
卓はマッキー、メインモニターはFOSTEX NF-01A。
最初のころはPROTOOLS~卓~モニターミキサーの接続がどうなっているかとか、
だいぶ苦労しました。基本中の基本なんですけどね。。
あと最初にパソコンをつけた日にいきなりパソコンが起動してくれず、
メモリーカードを挿し直したら動いた、というトラブルにも半日苦しみました。
ある程度レコーディングもこなして、最初に購入した機材が
BEHRINGER EDISON STEREO IMAGER
です。
結構変な機材で、これを知ったのは森俊之さんがプロデュースしてくれた曲の時に、
RHODESを弾いていて、アシスタントさんに「エジソンつないでくれ」と言っていて、
そのあとEDISONをつないだ森さんは「気持ちいい。。気持ちいい。。気持ちいい。。」
と30分くらい弾きっぱなしでレコーディングが中断してしまい、
エンジニアさんやスタッフさんが’そろそろ止めた方がいいかな。。’
とかみんなで話し合っているのを見て、
‘エジソンってやつはキーボードに繋ぐとかなり気持ちがいいらしい’
というのだけ覚えていて、
それからサンレコでEDISONと言う名前を発見して、
‘これのことか’という具合です。
もう廃盤らしいのですが、いまだにファンも多く、
オークションをみていたら出典してあって、
ちょうどキーボードの音が味気ない。。ラインくさいしなんか音が安っぽい。。
と思っていたので、落札。
EDISONはどんな機材かというと、
位相をいじってステレオ感を調整する機材っっって言ってもわかりにくいでしょうか。
つやつやさせたりあと奥に行かせたり、逆に古臭くさせたり、近くで演奏している感じにしたり。
BEHRINGERと言うと安い機材の代名詞みたいになっているので敬遠する人も多いかと思いますが、
EDISONは名器です!ただしステレオ録音でしか使えません。
←一番上がEDISONです。
←これが2chコンプレッサーのDRAWMER1960。
真空管が入っているのであたたかくて太い音。
←ADコンバーターとして使っているALESISのADAT。
有名なエンジニアさんでもこの音が好きでわざわざでっかいスタジオにADコンバーターとして使う人もいるようです。
BEHRINGERが出てきたのでもう一つ愛用のBEHRINGERの機材があります。
それはBstとCstの録音用に常設されているMIC PREAMPです。
マッキーの卓をマイクプリとして使っていたのですが、
どうもDRUM録音がデジタル臭いというかがしゃがしゃしていると言うか、
特にシンバルの音が全然好きになれない。。
ということでマイクプリが欲しくなったのですが、いいやつはやっぱり高いです。
そこで普段レコーディングの時にはスタジオの中で置いてあるだけの彼らに目をつけました。
僕のこの機材への印象は全くもって可も無く不可も無く、
という感じなんですが、ということは逆に色も付け易いのではないか。。
真空管が見えているルックスなんでとりあえず変えてみたら劇的な変化が生まれるに違いない!
ということでサイトを調べてみたらすぐに出てきた東京の真空管専門店「vintage sound」。
凄く細かくサイトが作ってあって、
真空管のことなんかイマイチわからない僕でもここならなんかいいのが手に入りそうだ、
ということで早速電話してみる。
正直こういうマニアックなことを突き詰めている人たちは、
専門用語をちゃんと言わないと話が通じないような人が多いので不安だったのですが、
ここの佐々木さん!とてもジェントルかつ知識の深い人で、
こんなレコーディングが今度あってこんなマイクを買ったんですが、
こんな感じの音にしたくて、と言ったらすぱっと「Mulardの12AX4Eがお勧めです」と。
他にも何パターンか候補を出してもらったのですが、
お金がそんなに無い僕はMulard 12AX4Eを2本、
たっぷりエイジングしてもらい{←通電させて真空管の状態を良好にする作業のことらしい}
装填!
びっくり!
とても良くなりました。
ハイがのびやかつやつや、ロウも太くなってくれてとてもお気に入りの音になりました。
各2chあるので、今はシンバルLRのTOPアンビと、
スネア、ドラム全体を録音するroom amb
{NTKを使っていて、ハイのかどがいい具合にまろやかになってくれています}
に使ってます。
そんな訳でAstでのスタジオ内練習録音より、実はB,Cstでの練習録音のほうが音が良いです。
ところでプリアンプを買う前に購入したマイクというのが、
SENHHAIZER MD421N通称白くじらです。
黒くじらはレコーディングでもライブハウスでもよく見かける機材ですが、
白くじらは今は生産していないヴィンテージのダイナミックマイク。
原田茶飯事くん{ex クリームチーズオブサン}とレコーディングをすることになり、
彼のバックグラウンドでもある60~70年代のブラジル音楽にはマストの機材で、
茶飯事くんが一度試してみたい。。との事。
色々調べてみると、
カーディガンズのプロデューサー等で有名なトーレ・ヨハンソンや、
ジャパニーズフォークの伝説高田渡さんは、
ドラム録音は全部のパーツを白くじらで録っているらしい、とか、
ビートルズの録音なんかにも出てきたりとか。
最近はクラムボンの原田郁子さんとかも使っているみたい。
ブラジルのボサノバ女帝エリス・レジーナのyou tube見てたら手持ちしながら歌っていて、
持ちにくそうだな~なんて思ったり。
知れば知るほど欲しくなった白くじらですが、
国内のオークションでは良さげなものは落ちていなかったので
{ヴィンテージ機材は状態のよさそうなやつしか買いたくない}、
ほとんどオークションの経験のない僕ですがebayなる国際オークションに登録して、
ドイツのmadomaというマイクの品揃えが異常に豊富な会社からかなり状態のよさそうなものを落札!
クレジットでお金を振り込んで早く来ないかな~~~。
なかなか来ない。。。
国際オークションはトラブルもかなり多いみたいだし、
だまされていたらどうしよう。。
とか二週間くらい悶々としたらようやく来ました。
箱からしてかっこよい!
↓白くじらことMD421N。箱のデザインにも笛が載っているように、生楽器の音にすごく強いです。
送料ドイツから1万円。無事にハナマウイに来てくれてありがとう。
僕は白くじらはアコギ、ヴォーカル、スネアのトップに使っています。
黒くじらよりもそれほどローは出ないのですが、
ミドルからハイのつやつや感が僕を気持ちよくさせてくれて、
vintage soundの佐々木さんの言うとおりBEHRINGERのマイクプリ{というかMulard}
との相性もばっちり。
AKG C414をビンテージにしたようなイメージなんで、
この二つは何か足りないなーと言う時はよく選手交代させて選んでいます。
あと買った機材で個性を放っているのが、
YAMAHA SUBKICK
です。
どうも僕が録音した音源はキックがイマイチだな~と思い、
赤犬とかでPAエンジニア等忙しくされているトッキーさんに相談してみたところ、
太鼓型の有名なメーカーから出ている変なマイクがあって面白いですよ、
と聞いて、ローばっかり録れる、とのこと。
値段も4万弱となんとか手が届く範囲だったので購入!
↓変な形!
形が太鼓というか実際に筒になっていて、
その中でローを共鳴させて拾う、というもの。
強力なローが強み。面白い!
いわゆる「ロー」って感じの音が録れます。
トッキーさんにまた会ったのでサブキック活躍してくれています、
とお話したら、ギター録音とかのアンビエンスマイクとしても面白いよ、
と裏技も伝授してもらったのでこれもアコギで試してみるといい感じのローミッド~ローサウンドが。
単体で聞くと,
60年代以前の録音がまだそれほど発展していなかった頃のような
超古めかしい音になってくれます。
この前一人でドラム録音をしていた時に,
hiphopのようなざらざら感が欲しくてトップアンビに使ったら面白い感じになってくれました。
多分アイデア次第で色々使えそうです。
nabowaの川上くんいわくベースを録音するとシンベみたいな音になるとか。。
試してみたい。。
しかし後からキックの分離が悪いのはベースとのミキシングや位相あわせ等、
色々な勉強不足であることが判明。チューニングも含めて日々精進です。。
あとはCstが狭い部屋なので、ドラムのアンビエンスの調整があんまり出来ない、
なんかどの音源も同じような響きになって面白くない。
と思って四条堀川を下ったところにあるドラム&パーカッションショップ「アポロ」
で働いているGくんに相談したところ、
シンバルを部屋中に置くとシンバルのハイがきらきら録れますよ!
とのこと。
ハナマウイには割れて処分に困ったシンバルが山ほどあるよ!
これを使わない手は無い。
ということで割れたシンバルを置きまくる。
アンビエンスのマイクで集音したトラック確かにきらきら感がいい!
意外にも直接叩いているわけではないのでハイがきつくなることはなく、
高音をいい感じ設定したお手製プレートリバーブが出来上がりってな感じです。
めいいっぱいライブにしたい時は、実はスタジオにはデッドからライブにする可変板があるので、
これを全開にしてグラスウールの吸音材も取って、
さらに大会にあったベニヤ板を配置しつつ割れたシンバルを置きまくると、
いままで聞いたことのないリバーブ感が得られました。
これでシンバルが割れても悲しむばかりではなくなりました!{シンバルは修繕費がとてもかさみます}
そんなわけでこの記事を書いている時点でエンジニア道8ヶ月ほどが過ぎました。
次にこの記事を書く時にはもっともっと成長していたいものです。
少しでもアーティストのみなさんが望んでいる音を出せるように、
引き出しを増やして精進しております。
この時点で録音・ミックスダウンに関わらせていただいたアーティスト
本田リサ/concentrate on popping/Lainy J Groove/security blankets
靴ピカ/ロッテンマイヤーさんのメガネ/広田勝紀/theNO/JANO/mosh baby
二十人/my EX/ジャッカルズ/原田茶飯事バンド/安田太/DREAD BEAR
マルマリ/sepatakuro/Ben{from Austraria}
musicstudio hanamauii 代表&メインエンジニア 宮 一敬